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「見る時間」や「見る場所」にとらわれないテレビ録画機

「テレビ置きたくない派」も満足のネットワークレコーダー、地デジをアプリで見られるパナソニック「miyotto」

2025年10月24日 13時15分更新

文● HK 編集●ASCII

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miyotto「UN-ST20A-H」。イメージ的には外付けのUSB HDDに近い。

 パナソニックは10月24日、新コンセプトのネットワークレコーダー「miyotto」(みよっと)を発表した。価格はオープンプライスで、11月下旬の発売を予定している。店頭での販売価格は5万5000円程度になる見込み。

「見る時間」や「見る場所」にとらわれないテレビ視聴体験

 パナソニックは現在、HDD/Blu-ray Discレコーダーの「DIGA」を展開しているが、miyottoはレコーダーの新たなシリーズとして立ち上げる。

 DIGAと同等の録画機能を備える一方で、写真や音楽の保存/再生などそれ以外の機能は潔く省略。専用のアプリを使い、本機で録画したテレビ番組、チューナーで受信したテレビ放送を宅内(LAN)/屋外(インターネット)の機器で視聴できる製品に仕上げている。

 DIGAにも「お部屋ジャンプリンク」という近い機能があるが、接続できる機器はパナソニック製のテレビやレコーダーに限られている。miyottoの視聴アプリは、テレビ、スマートフォン、タブレット、ストリーミングデバイス、プロジェクターなど広範な機器に向けて提供されるので、視聴に利用できるデバイスの選択肢が格段に広がる。テレビとつなぐケーブルがないため、設置もシンプルだ。

 「見る時間」や「見る場所」にとらわれない自由度の高い使い方ができるのが特徴だ。

アンテナ線があるところに置くだけ

 最初の製品となる「UN-ST20A-H」は幅55×奥行き214.5×高さ147mmで約1.2kg。縦置きの非常にコンパクトな筐体なので、外付けのUSB HDDを置く感覚に近い。

 本体には地上デジタル/BS・CSデジタルのトリプルチューナー(4K放送には非対応)と2TBのHDDを内蔵。3番組同時録画や最大15倍の長時間録画に対応する。USB端子には容量8TBまでの外付けHDD(やUSBメモリー)を接続できるので、容量面での不満がでにくい仕様と言えるだろう。

 録画データを他の機器に引き継ぐ「お引越しダビング」にも対応している。HDDは最大8台まで登録可能だが、使用する際にはUSBハブなどを介さず1台ずつ接続する必要がある。

有線LAN、USB、地デジとBSのチューナー入力(出力はない)などは装備しているが、端子は絞り込んでいる。

 HDMI端子をなくしたことで、本体はアンテナ線や電源がつながる部屋の隅や本棚などに置いておけばよく、テレビのそばがケーブルで煩雑になることがない。「miyotto」の再生アプリは、iOSやAndroid OSはもちろん、Fire OS、Google TV、Android TVにも対応。アプリのインストールができる、

 最近ではGoogle TVを搭載したプロジェクターも増えているので、リビングにはテレビを置いていないけれど、必要なときに必要な場所でテレビを大画面で観たいというニーズにも応えてくれる。また、Fire TV StickやChromecastを使えば、アプリを追加できないテレビやPC用ディスプレーでの再生も楽しめる。

対応するデバイスが多彩だ。

プロジェクターやテレビで使えるGoogle TV用アプリを新規に開発

 テレビ向けアプリは大画面とリモコン操作に合わせて新規に開発したもので、miyottoからテレビに番組を伝送する際の変換処理を省く(DRモードで配信する)ことで、再生待ちのタイムラグを感じにくくなっている(従来比40%低減)。

 スマホやタブレット向けのアプリは「どこでもDIGA」をベースに開発。宅内視聴に加えて屋外視聴も可能で、設置設定もアプリ内で完結する。いずれもApp StoreやGoogle Playストアなどのアプリストアからダウンロードできる。

タブレットアプリの様子。

 miyottoを使用する際には専用アプリで視聴デバイスとmiyotto本体をペアリングする必要がある。同時視聴可能な台数は最大2台、登録可能な台数は最大6台だ。家族で見たい番組が異なる場合でも、チャンネル争いにならないのもポイントだ。

最大15倍録画に対応、長時間の録画が可能になる。

 テレビ用アプリのUIは全自動ディーガのUIをベースとしたもの。番組表を利用した予約のほか、毎週予約やキーワード自動録画、1クール自動録画など、DIGAシリーズの機能を踏襲している。出張などで家を離れる場合も、本機があれば「自宅で録画した番組」や「自宅で受信できるテレビ局の放送」を見られるので、好きな番組の消費もはかどるはずだ。

Z世代だってテレビ番組は観たい

 パナソニックによると、市場ではレコーダーの出荷台数が減少し、ディスクメディアから配信への移行も進んでいるものの、コンテンツ配信の接続率は高まり、テレビを置かない代わりにプロジェクターを導入するなど、テレビ放送の視聴スタイルには大きな変化も生じているという。一方で、ドラマやバラエティーを「見逃し配信」で観るなど、テレビ番組に対するニーズは引き続き高いことがわかった。

 「テレビ離れが進んでいる」と言われる10代、20代も、番組は大画面のテレビで見る人が約8割と多く、録画についても50〜70%程度が実施している。また、テレビ番組はリアルタイムで見たいと思う人は6〜7割に上り、これは他の年代を上回る数字だったという。

若者のテレビ離れが進むと言われているが、Z世代もテレビ番組を視聴していて、かつリアルタイム視聴は他の年代よりも高い結果が出た。

流行のステルス家電、見逃し配信の不満を解消できる

 体験会にはトークセッションのゲストとして、人気YouTuberのさがらごうち氏も登壇。商品の発売に先立ってmiyottoを試した体験について語った。

 さがらごうち氏は冒頭でガジェットのトレンドは「多用途」と「ステルス化」へと向かっていると説明。ケーブル内蔵のモバイルバッテリーなど「一つのデバイスを複数の用途で使いたいというニーズ」が高まっているほか、天井にも投影できるプロジェクターなど「利便性が高く、生活空間への溶け込みを意識した製品」が増えているとした。そのうえで、自宅のリビングにテレビを設置しない代わりに、2台のプロジェクターで大画面の映像を楽しむなど、こうした視聴スタイルの変化を自ら実践していると説明した。

 一方で、自宅にテレビを設置していないユーザーが直面する課題も指摘。「見たい番組はあるが、見逃し配信アプリでは視聴期間が限定され、能動的に番組を探す必要がある」といった不自由さにも言及した。

Google TVに対応したプロジェクターからワイヤレスでの使用も可能だ。

 さがらごうち氏は、こうした課題にmiyottoが応えてくれるとコメント。録画番組を期間無制限で視聴できるほか、番組表を通じて新しい番組との出会いも生まれるなど見逃し配信サービスにはないメリットがあると説明した。設置の簡便さに加えて、アプリ動作の快適性も強調。「番組表の読み込みやスクロール、画面の切り替えが非常にスムーズで、ストレスがない」とポジティブに評価した。

 視聴環境の自由度を飛躍的に向上させる点もポイント。プロジェクターへのアプリインストールや設定も簡単ですぐに視聴環境が手に入るほか、アンテナ線の位置に縛られることなく、余っているモニターでも地上波の視聴が可能になる点には大きなメリットがあるとした。時間と場所に縛られない屋外からの視聴や、2台同時配信によるチャンネル争いの回避など、利便性が高いデバイスであると紹介した。

ストリーミングデバイスを使うことで、PC用のディスプレーなどもテレビのように使える。

 パナソニックは映像コンテンツの多様化、視聴場所の多様化、視聴デバイスの多様化などが進む現在、見たい場所で見たいテレビ番組を楽しめるデバイスとして「miyotto」を提案している。既存のDIGAはレコーダーとしての本質的な機能を進化させていく一方で、miyottoは新しい視聴スタイルの提案できる製品として差別化しながら、活用提案をしていきたいという。

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