はじめに 世の中ではしばしば、情報を「氷山」に例える比喩が使われます。水面上に見えているのはほんの一部であり、大部分は水面下に隠れているという構図です。この考え方は、機密情報を氷山の下に、公開情報を上に置き、見えない部分こそが価値の本質だとみなす発想に結びつきます。 しかし実際の社会では、価値を生むのは「隠された情報」そのものではなく、「見えている情報をどう扱うか」です。つまり、公開情報の読み解きと運用こそが実務で決定的に効きます。 本稿では、なぜ公開情報が機密情報以上に重要なのかを、情報構造・知識形成・理解力という観点から論じ、氷山の上に見えている部分こそが社会における知的競争力の源泉であることを明らかにします。 公開情報の価値は「誰でも理解できる」ものではない 多くの人は「公開されている情報=誰でも理解できる」と誤解しています。しかし実際には、公開情報を活用できる人は限られています。た

