世界99 上下巻セット 集英社Amazonこの『世界99』は『コンビニ人間』などで知られる村田沙耶香の3年以上にわたる連載をまとめた大長篇だ。10人の子どもを産むことで一人の人間を殺しても良い、特殊なシステムが生まれた日本を描き出す「殺人出産」や、カジュアルに人が自死するようになり『可愛い死に方100選』のような本が本屋に自然と並ぶようになった世界を描く出す「余命」のようにラディカルな形で出産や死を扱う短篇を書いてきた村田沙耶香だが、本作はそうしたSF的な短篇群の集大成的な長篇といえる。 僕も2025年の3月に刊行されて少ししてから読んでいたのだが、久々に衝撃を受けたと言うか、うーんと考え込んでしまうようなSFで、どう紹介しようか、と考えあぐねているうちにだいぶ時間が経ってしまった。僕はSFを読みすぎたこともあってかだいたい元ネタや潮流がわかって、半ば予想&身構えながら読んでしまう。 だが

