国立遺伝学研究所(遺伝研)は、理化学研究所(理研)の大型放射光施設「SPring-8」を用いてヒト染色体の構造を詳細に調べ、定説の「規則正しく束ねられたクロマチン線維」は存在せず、かなりいい加減で不規則に凝縮した状態で染色体内に収められていることを突き止めたと発表した。成果は遺伝研の前島一博教授らの研究グループによるもので、論文はヨーロッパ分子生物学機構雑誌「EMBO Journal」の2月17日号に掲載された。 ヒトの体は約60兆個の細胞からできている。その1個1個の細胞に、全長約2mにも達する、生命の設計図であるDNAが収められているのはサイエンスが好きな人なら、少なくとも一度は聞いたことのある話だろう。細胞が分裂する際、DNAは切れたり絡まったりするのを防ぐために凝縮し、染色体と呼ばれる46本のDNAの束になる(画像1)が、その存在は19世紀末から知られており、発見されて軽く100年

