酒を飲み過ぎると血圧が上昇し、肝臓が傷つくことは以前から知られていたが、新たな研究により、脳にも大きな打撃を与える恐れが示唆された。命にかかわる脳出血を引き起こす可能性だ。
米マサチューセッツ総合病院出血リスク・脳卒中予防クリニックのディレクターであるエディプ・グーロル氏のチームが発表した最新の研究結果によると、過度の飲酒をする人は、あまり飲まない人や全然飲まない人に比べて脳出血をより早く発症し、出血量の多さ、脳の損傷の大きさ、致死率の高さなどの点で、より悪い結果になっていたという。
この研究は観察研究であり、因果関係を証明するものではない。また、飲酒の量については自己申告に頼っているため、過小評価されている可能性もある。
それでも、今回の知見はこれまで分かっていなかった事実を補う役に立つ。
「アルコールが脳に影響を及ぼすしくみに関する私たちの知識を増やす、非常に価値ある研究です」と、英オックスフォード大学病院の神経科医であるフェイ・べゲティ氏も評価する。(参考記事:「より「健康的」な酒はどれ? 二日酔いしにくい酒は? 科学の答え」)
以下では、どの程度のアルコールの量がどれだけ脳出血に悪影響を与えるのかや、アルコールが脳と体に与える影響に関するさまざまな研究における、この結果の位置づけと今後について解説する。(参考記事:「若い世代で脳卒中が増加、背景には何が? 予防と早期発見の方法は」)
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