日本一のヨガYouTuberがGoogleのセミナーで印象に残った言葉「動画は映像よりも...」
チャンネル登録者数250万人を誇る、日本一のヨガYouTuber・B-Flow。企画・撮影・編集を担当するトモヤさん、美しいポーズで多くのファンを魅了するマリコさんのご夫婦で運営しています。YouTubeの編集にあたり、トモヤさんがずっとこだわり続けてきたこととは。そして、進化を続けるB-Flowが見つめる未来とは。
※本稿は、B-Flow著『今この瞬間をどう生きるか 日本一のヨガYouTuber夫婦が歩んできた道、そしてこれから』(KADOKAWA)より一部抜粋・編集したものです。
オンラインサロンの講師を募集したものの
無職だった二人がYouTubeを始めて、ヨガの動画がヒット。少しずつ余裕が生まれて、やりたいことに挑戦できるようになってきた。オンラインサロンを開き、コミュニティができ、イベントも開催するようになった......。
私もマリコも、初めからこんなに大きなチャンネルになるなんて思ってもいませんでした。やりたいことがどんどん出てきて、「とりあえずやってみようよ」と言っているうちに、たくさんの人に助けられ、輪が広がり、大きくなっていったのです。
振り返ると、あまり深く考えず、「とりあえずやってみよう!」と思える二人だったから良かったのかもしれません。
オンラインサロンを立ち上げたときも、YouTubeでヨガ講師を募集して、「素敵な人たちが集まってくれた!」と喜んだところまでは良かったのですが、そこから先が大慌て。ほぼ全員、ライブ配信は初めてだったのです。そこで急いで、「必要な機材リスト」を作り、カメラやライティングの設定をオンラインでレクチャー。ライブ配信のための技術的な講義を何度か行いました。
講師の皆さんから「そこまでしてもらっていいんですか?」と言われましたが、新しく仲間になる人に情報を伝えるのは当たり前のこと。教えるのも好きなので、苦にもなりません。
講師全員がライブ配信できるようになると、あとは自然と回っていきます。私はサロンの様子を見ながら「次はどんなイベントをやろうかな」と考えるのが楽しみになりました。
2023年からは「ミートアップ」というイベントをスタート。ライブ配信でレッスンを受けているメンバー同士が「実際に会いたい」と声をあげ、実現したものです。春と秋の年2回開催し、これまでは六本木で行ってきましたが、参加者が50人以上になることもあり、そろそろもっと広い会場が必要かもしれません。
会場いっぱいにヨガマットを敷き、3人の先生がリレー形式でレッスンをつなぎます。流れるように体を動かすフローヨガ、しっかり汗をかくパワーヨガ、心を整えるヨガ哲学と瞑想......どれも先生の個性が光ります。
サロンメンバーにとっては、先生から直接レッスンを受けられる特別な時間。
先生同士にとっても、情報交換や刺激をもらえる貴重な場になっているようです。
みんなで一緒にヨガをして、最後は全員で手をつなぎ、ゆっくり深呼吸します。
ただそれだけなのに、心が洗われて、なかには涙する人も。
私もマリコも、毎回この瞬間に胸がいっぱいになります。
逆に、メンバーの皆さんから大きなギフトをもらったような気持ちになるんです。
ヨガの後は、軽食やワインを囲んで交流会。ときには「大人の運動会」なんてユニークな企画で盛り上がることも。「ヨガが好き」という共通点があるだけで、自然と打ち解けて、笑い声が飛び交う時間は本当に心地いいものです。
私にとっての幸せは、登録者数や収入が増えることではありません。
こうしたコミュニティでたくさんの人と出会い、たくさんの思い出を作ること。そして、これからもこの場所をもっと大きく、楽しいものに育てていくことが目標です。
マリコの言葉をいろんな言語に変えて、世界中に届けたい
さて、これからの目標は、海外の人たちにも「B-Flow」を楽しんでもらうことです。
今でもB-Flowの動画は15カ国語の字幕に対応していますが、字幕を追いながらヨガをするのは、初心者にはなかなか難しいもの。どうすれば海外の人たちに親しんでもらえるのか、その糸口がつかめずにいました。
ところが今では、AIを使って、音声をいろんな言語に変換できるようになってきました。マリコの声がそのまま各国の言葉に変われば、世界中の人に動画を楽しんでもらえるはずです。
YouTubeの音声もAIで作る。きっと、そんな日がすぐにやってくると思います。
実は、私がYouTubeを始めた頃からずっとこだわっているのは、映像よりも"音"なんです。ヨガでは、ポーズを一度見たら、あとはインストラクターの声を頼りに体を動かしていきます。だからこそ、指示の声がはっきりと聞こえることがとても大切です。
そのため、2016年の当初から、ピンマイクの使い方をいろいろ試してきました。動きながらでもマリコの声をしっかり拾えるように、スマホにピンマイクを差して声を別撮りし、後で映像と同期させる......こうすると、遠くから話しているように聞こえてしまうカメラの音声とは違い、驚くほどクリアに仕上がります。
「これだ!」と思った瞬間は、本当に嬉しかったです。声がクリアに聞こえるだけで、動画の見やすさも、親しみやすさもぐっと変わるんです。
音楽も、最初は著作権フリーの曲だけを使っていましたが、「クリエイティブ・コモンズ」という、条件付きで自由に使える音源に出会ってからは、選べる幅が一気に広がりました。その後、「Artlist、Epidemic Sound」といった音楽素材サイトと契約し、さらにおしゃれな楽曲に出会えるように。
気に入った音楽を使えるようになって、音作りがぐっと楽しくなりました。
印象的だったのは、YouTubeのセミナーでGoogleの方が言っていた言葉です。
「動画は、映像よりも音が6割以上を占める」
その話を聞いたとき、「やっぱり!」と心からうなずいたのを今でも覚えています。
当時、Googleは成長が期待できそうなチャンネルを招待して、六本木などで無料のセミナーを開催していました。半年に一度ほどの機会でしたが、動画制作の初心者だった私にとっては、本当にありがたい学びの場でした。
これからはAIの技術で、音や声の可能性がもっと広がっていくでしょう。
マリコの声がいろんな国の言葉に変わって、世界中の人が同じようにレッスンを受けられる日も、そう遠くないかもしれない。
そんな未来を想像すると、ワクワクしてたまりません。
海外での取材やイベントにも、いつかは挑戦してみたい。そのときはマリコの英語力アップが鍵になりそうです。
「それはハードルが高すぎるよ〜」とマリコはちょっと困った顔をしていましたが、きっと大丈夫。