物理の先生の声だけが聞き取れない― 兵庫県内に住む中村知子さん(17)=仮名=は高校に入学した直後の2024年4月、自身の聞こえ方の異変に気付いた。両親や友人、他の先生の声は聞き取れる。しかし、物理を担当する50~60代の男性の先生だけ声が聞き取れなかった。 中村さんは話す。 「先生の声だけ、聞いたそばから消えていくような感じだった」 それは「音は聞こえるのに、言葉としては聞き取れない」という症状。海外の研究によると、同様の傾向がある人は人口の1%に上る可能性もあるが、日本では2024年3月に「診断の手引き」がようやく作られたばかりのものだった。(共同通信=西村曜) ▽聞こえているけど、聞き取れない人たち 高校で“異変”に直面した中村さん。教師の声は、聞こえるときもあるが、判別できるのは声のトーンや大小だけで、意味ある日本語には聞こえなかった。 物理は授業についていけず2学期の期末テストで

