本文を読む前に
(1)文章には九つの段落があります。それを確認してください。
確認しました。
(2)テレビが青少年に与える影響というと、どんなことがありますか。
テレビが青少年に与える影響として、暴力的なシーンや内容が青少年の行動に悪影響を及ぼす可能性があります。また、視聴時間が他の貴重な活動時間を奪うことで、社会性や思考力の発達に影響を与える可能性も指摘されています。
練習A
(1)テレビについて、これまでアメリカでは行われて、日本では行われなかった調査は何ですか。
アメリカでは、長期間にわたる追跡調査が行われ、テレビの暴力的シーンと青少年の問題行動との因果関係を調べました。しかし、日本ではこれまで、そのような大規模な追跡調査が行われていませんでした。
(2)アメリカでの調査が二つ紹介されています。それぞれの調査の目的は何ですか。
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コロンビア大とニューヨーク州立精神医科学研究所の調査
テレビの視聴時間と青少年の問題行動(犯罪行為)との因果関係を調べること。 -
スタンフォード大学の調査
テレビの視聴時間を減らすことで青少年の暴力的行動が減少するかどうかを調べること。
(3)本文のタイトル「テレビを見る時間、見ない時間」は筆者の主張とどんな関係がありそうですか。
タイトルは、テレビを見る時間が青少年に与える影響と、それにより失われる体験の時間の重要性を対比的に表しています。筆者は、テレビ視聴そのものの影響よりも、視聴時間によって奪われる貴重な体験に注目しており、これがタイトルの主張を示しています。
練習B
表現の意味の確認
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「感情論」
特定の番組やシーンに対する親の主観的な不快感や、感情的な意見のこと。 -
「それなりの費用」
大規模な追跡調査を行うために必要となる相当な資金やリソース。 -
「肯定的な実験結果」
テレビ視聴時間を減らすことで、暴力的行動や攻撃的言動が減少するという結果。 -
「慎重な態度」
テレビと青少年の問題行動との因果関係について、過度に決めつけず、多様な要因を考慮する姿勢。 -
「貴重な体験」
自然の中で遊ぶこと、友人や家族とのコミュニケーション、思考や創造的活動を行う時間。
内容把握
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必要な調査と日本での状況
テレビ視聴と青少年の問題行動との因果関係を明らかにするための長期的な追跡調査が必要です。これまで日本では行われていませんでしたが、2001年にようやくNHKと民放各社が協力して追跡調査を始めました。 -
コロンビア大の調査結果の説明
表によると、テレビ視聴時間が長いほど、犯罪行為に関与する割合が高まる傾向が見られます。1時間未満のAグループに比べ、3時間以上のCグループでは強盗や銃使用などの割合が大幅に高くなっています。この結果から、1時間以上のテレビ視聴が問題行動に繋がる可能性が示唆されました。 -
スタンフォード大の調査結果とコロンビア大との違い
スタンフォード大の調査では、テレビ視聴時間を減らすことで暴力的行動が減少することが確認されました。コロンビア大の調査が視聴時間と問題行動の因果関係を示したのに対し、スタンフォード大の調査は視聴時間を減らすことの効果を実証しています。 -
筆者の重視点
筆者は「テレビを見る時間」よりも「テレビを見ない時間」を重視していると考えられます。その理由は、テレビを見ない時間が家族や友人との交流、自然の中での体験など、青少年にとって重要な体験に使われるべきだと主張しているためです。
発展
(1)あなたの国では、テレビ番組の内容、放送時間について何か規制がありますか。それは必要なことだと思いますか。
中国では、青少年に有害な内容(暴力や不適切なシーン)を含む番組の放送が制限されています。また、子供向け番組の放送時間帯も規制されています。この規制は、青少年の健全な成長を守るために必要だと思います。
(2)テレビ以外のメディア、例えばインターネットなどを考えると、テレビの影響ばかり考えていてはだめだ、という指摘があります。それはなぜでしょうか。
インターネットやスマートフォンの普及により、青少年はテレビ以外のメディアからも多くの影響を受けています。オンラインゲームやSNSなどの時間消費や内容が、テレビと同じかそれ以上に行動や思考に影響を及ぼす可能性があるため、テレビだけに注目するのは不十分です。
(3)「古くて新しいテーマ」と言える社会問題があれば、それについて話し合ってみましょう。
たとえば、AIの普及による雇用問題は「古くて新しいテーマ」と言えます。機械による仕事の代替という課題は産業革命以来続いていますが、AI技術の進化により、新たな形で人間の労働や社会構造に影響を与えています。このテーマについて、多角的な議論が必要です。