この記事は Jamal Eason による Android Developers Blog の記事 "Announcing Android Studio Arctic Fox & Android Gradle plugin 7.0!" を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
2020 年 12 月 1 日(日本時間 12 月 2 日)、Android Studio Arctic Fox(2020.3.1) の初めてのバージョンが Canary チャンネルでリリースされ、それとともに Android Gradle プラグイン(AGP)バージョン 7.0.0-alpha01 もリリースされました。今回のリリースでは、Android Studio と Gradle プラグインのバージョン番号の付け方を調整しています。この変更で、Android Studio のバージョン番号スキームから Gradle プラグインを切り離し、Android Studio のそれぞれのリリースがどの年に行われて、どの IntelliJ バージョンに一致しているかを明らかにします。
Android Studio Arctic Fox(2020.3.1)では、Android Studio のベースとなっている IDE である IntelliJ IDEA との整合性を高めるため、年に基づいた採番に移行します。バージョン番号スキームは、年、ベースとなった IntelliJ のバージョン、機能およびパッチレベルという重要な属性を組み込んだものに移行します。この名称変更により、Android Studio で使っている IntelliJ プラットフォームのバージョンがすぐにわかるようになります。さらに、メジャー バージョンごとに正規のコードネームを割り当てます。最初のコードネームは Arctic Fox で、以降はどのバージョンが新しいのかが簡単にわかるように、アルファベット順に進めます。
デベロッパーの皆さまには、最新の機能と品質改善を利用できるように、最新バージョンの Android Studio を使うことをおすすめします。バージョンを簡単に最新に保つことができるように、Android Studio のバージョンと Android Gradle プラグインのバージョンは明確に切り離します。覚えておくべき重要な点は、IDE をアップデートしても、ビルドシステムがアプリをコンパイルしたりパッケージングしたりする方法は何も変わらないことです。逆に、アプリのビルドプロセスの変更や APK / バンドルは、プロジェクトの AGP バージョンによって決まります。したがって、開発サイクルの後半であっても、Android Studio のバージョンは安全にアップデートできます。プロジェクトの AGP バージョンは、Android Studio のバージョンとは異なるタイミングでアップデートできるからです。また、新しいバージョンのシステムでは、安定版リリースの AGP バージョンを使っている限り、個人やチームのアプリ プロジェクトで安定版とプレビュー版の Android Studio を両方同時に実行することがこれまで以上に簡単になります。
これまでのバージョン番号システムで言えば、今回のリリースは Android Studio 4.3 になります。新しい番号システムでは、Android Studio Arctic Fox(2020.3.1)Canary 1、または単に Arctic Fox となります。
今後、Android Studio のバージョン番号スキームは次のようになります。
AGP 7.0.0 では、セマンティック バージョニングの考え方を採用し、AGP に必要な Gradle バージョンと一致させます。 Android Studio と Android Gradle プラグインとの互換性には、変更はありません。AGP の安定版を使うプロジェクトはそれより新しいバージョンの Android Studio で開くことができます。
近日中には更に、AGP のバージョン番号の考え方と、今回の新しいメジャー リリースである AGP 7.0 の新機能について詳しく説明したブログ記事を公開する予定です。
現在は Arctic Fox の機能開発フェーズの初期段階ですが、コードエディタ、アプリ インスペクション ツール、Layout Editor、組み込みエミュレータなど、IDE のさまざまな領域にわたる 200 以上の品質改善とバグの対応を行いました。具体的なバグの修正については、リリースノートをご覧ください。
Jetpack Compose を使っている方のために、デバイスやエミュレータへの @Preview Composable のデプロイなど、多くの新しいアップデートを行っています。
@Preview
新しい Layout Validation ツールもお使いください。さまざまな画面サイズ、フォントサイズ、Android Color Correction / Color Blind Mode にレイアウトがどう反応するかを確認できます。この機能には、Layout Editor を使っているときに [Layout Validation] ツール ウィンドウからアクセスできます。
最後に、MacOS(その他のプラットフォームも近日中に対応予定)で最新の Android プラットフォーム ツールと Android 11 デバイスを使っている方は、Run ボタンのデバイス選択ダイアログ → [Pair Devices Using Wi-Fi] から、IDE に組み込まれた Wireless ADB 機能を使うことができます。
Android Studio と Android Gradle プラグインの今回のリリースに含まれるその他の詳しい変更点については、リリースノートをご覧ください。
Reviewed by Takeshi Hagikura - Developer Relations Team and Hidenori Fujii - Google Play Developer Marketing APAC
この記事は Scott Swarthout による Android Developers Blog の記事 "Android studio 4.1" を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
2020 年 10 月 12 日(日本時間 10 月 13 日)、Android Studio 4.1 の安定版がリリースされました。編集、デバッグ、最適化の一般的なユースケースに対応する一連の機能が追加されています。今回のリリースの主なテーマは、Android Jetpack ライブラリを使う際の生産性向上でした。Android Jetpack とは、デベロッパーがベスト プラクティスに従って速くコードを書けるようにするための Android ライブラリ スイートです。皆さんからのフィードバックに基づき、コード編集操作にたくさんの改善を行ったほか、よく使われる Android ライブラリを IDE に統合しています。
Android Studio 4.1 で注目すべき機能には、アプリのデータベースを照会できる新しい Database Inspector、依存性注入に Dagger または Hilt を使うプロジェクトのナビゲーションのサポート、オンデバイス機械学習のサポート向上(Android プロジェクトでの TensorFlow Lite モデルのサポートを含む)などがあります。さらに、変更の適用を更新してデプロイを高速化しました。皆さんからのフィードバックに基づき、ゲーム デベロッパーに役立つ変更も行いました。新しいネイティブ メモリ プロファイラとスタンドアロン プロファイリング ツールを導入しています。
私たちは、Android Studio の品質を向上するため、バグやパフォーマンスの問題に懸命に対応してきました。多くのデベロッパーの皆さんから、パフォーマンスと信頼性の向上に主眼を置いていることを評価する声が届いています。今回のリリース サイクルでは、2,370 個のバグを修正し、公開されていた 275 個の問題をクローズしたことをご報告します。デベロッパーの皆さんの生産性にとって鍵となるのは、高い品質です。私たちはこれからも高い品質を維持することをお約束します。
プレビュー リリースで早くからフィードバックを寄せてくださった皆さん、ありがとうございました。皆さんからのフィードバックは Android Studio 4.1 の開発にあたって反復作業や機能改善に役立ちました。最新の安定版リリースを使う準備が整い、新たな生産性機能を使ってみたい方は、Android Studio 4.1 をこちらからダウンロードしてください。
続いて、主なデベロッパー フローごとに分類された、Android Studio 4.1 のすべての新機能をご紹介します。
新しいプロジェクトを作成する際のダイアログに表示される Android Studio のテンプレートが、マテリアル デザイン コンポーネント(MDC)を使ったものになりました。デフォルトで、テーマとスタイルの最新ガイドに準拠しています。この変更により、推奨のマテリアル スタイル パターンや、ダークテーマなどの最新の UI 機能を簡単に使えるようになります。
アップデートには、以下の内容が含まれています。
新しい Database Inspector では、アプリのデータベースを簡単に調査、照会、変更できるようにしたいと考えました。この機能を使ってみるには、API レベル 26 以降を実行しているデバイスにアプリをデプロイし、メニューバーから [View] > [Tool Windows] > [Database Inspector] を選択します。アプリで Jetpack Room ライブラリを使っている場合でも、Android プラットフォーム バージョンの SQLite を直接使っている場合でも、実行中のアプリのデータベースやテーブルを簡単に調査したり、カスタムクエリを実行したりできます。
Android Studio は、アプリを調査しているときもライブ接続を維持しているので、Database Inspector を使って値を変更し、実行中のアプリで変更内容を確認することもできます。Room 永続化ライブラリを使っている場合は、コードエディタの各クエリの隣にも実行ボタンが表示されるので、@Query アノテーションで定義したクエリをすばやく実行できます。詳細はこちらをご覧ください。
Android Studio の中で直接 Android Emulator を実行できるようになりました。この機能を使うと、画面スペースを節約したり、ホットキーでエミュレータとエディタのウィンドウ間をすばやく移動したり、1 つのアプリケーション ウィンドウの中で IDE とエミュレータのワークフローを整理したりできます。なお、スナップショットの管理や、回転やスクリーンショットなどの一般的なエミュレータ操作は Studio から行うことができますが、すべてのオプションにアクセスするには、安定版のエミュレータを実行する必要があります。この機能は、次の操作でオプトインできます。
[File] → [Settings] → [Tools] → [Emulator] → [Launch in Tool Window]
Android デベロッパーは、機械学習を使って革新的で便利な体験を生み出しています。TensorFlow Lite は、モバイル機械学習モデルを記述する際によく使われるライブラリです。私たちは、こういったモデルを Android アプリに簡単にインポートできるようにしたいと考えました。Android Studio は、ビューのバインディングと同じような使いやすいクラスを生成してくれます。そのため、少量の型安全なコードでモデルを実行できます。ML モデル バインディングの現在の実装では、メタデータで拡張されたイメージ分類とスタイル変換のモデルがサポートされています。
インポートしたモデルの詳細やアプリでモデルを使う手順は、プロジェクトで .tflite モデルファイルをダブルクリックし、モデルビューアのページを開くと確認できます。詳細はこちらをご覧ください。
Android エミュレータは、最近追加された 5G 携帯通信のテストに加え、折りたたみ式デバイスもサポートします。Android Emulator 30.0.26 以降では、さまざまなデザインや設定の折りたたみ式デバイスを設定できます。折りたたみ式デバイスを設定すると、エミュレータはヒンジ角度センサーのアップデートと姿勢の変化を報告するようになります。そのため、このフォーム ファクタに対してアプリがどのように応答するかをテストできます。詳しくは、ブログ投稿 Developing for Android 11 with the Android Emulatorをご覧ください。
ビルドが速くなれば、デベロッパーは短時間で簡単にアプリを変更できるようになります。アプリに対する反復作業の生産性を上げるため、Android 11 以降を実行しているデバイス向けに、変更の適用機能を強化しました。
私たちは反復作業にかかる時間の短縮に本格的に取り組み、アプリをインストールすることなく変更をデバイスにデプロイして永続化する方法を開発しました。一度 Android 11 デバイスにデプロイすれば、それ以降、コードの変更の適用 [Apply Code Changes] または変更を適用してアクティビティを再起動 [Apply Changes and Restart Activity] する場合のデプロイが大幅に速くなります。さらに、変更の適用でコードの変更のサポートが強化されています。メソッドを追加した場合でも、コードの変更の適用 [Apply Code Changes] または変更を適用してアクティビティを再起動 [Apply Changes and Restart Activity] のどちらかをクリックすることで、実行中のアプリに変更をデプロイできるようになっています。
Android Gradle プラグイン 4.0 には、AAR の依存関係の Prefab パッケージをインポートする機能が追加されています。この機能については、ネイティブ ライブラリの共有もサポートするように拡張したいと考えていました。AGP バージョン 4.1 を利用すると、Android ライブラリ プロジェクト用の AAR に格納されている外部ネイティブ ビルドからライブラリをエクスポートできます。ネイティブ ライブラリをエクスポートするには、ライブラリ プロジェクトの build.gradle ファイルの android ブロックに以下を追加します。
buildFeatures { prefabPublishing true } prefab { mylibrary { headers "src/main/cpp/mylibrary/include" } myotherlibrary { headers "src/main/cpp/myotherlibrary/include" } }
ネイティブ コードでクラッシュや ANR が発生した場合、システムはスタック トレースを生成します。これは、クラッシュした瞬間までにプログラムがネストして呼び出した一連の関数のスナップショットです。このスナップショットは、ソースの問題を特定して修正する際に役立つ可能性がありますが、マシンのアドレスを人間が読むことができる関数名に戻すため、まずシンボリケーションを行う必要があります。
C++ などのネイティブ コードを使ってアプリやゲームを開発する場合、アプリのバージョンごとにデバッグ シンボル ファイルを Play Console にアップロードできるようになりました。Play Console は、このデバッグ シンボル ファイルを使ってアプリのスタック トレースのシンボリケーションを行い、クラッシュや ANR を解析しやすくします。App Bundle にデバッグ シンボルを含めるには、プロジェクトの build.gradle ファイルに次の行を追加します。
android.buildTypes.release.ndk.debugSymbolLevel = 'SYMBOL_TABLE'
Android Studio 4.1 では、システム トレースを大幅に見直しました。システム トレースは、アプリがシステム リソースをどのくらい使っているかをリアルタイムで確認できる最適化ツールです。今回は、ボックス選択モードでトレースを簡単に選択できるようにし、新しい解析タブを追加し、アプリの UI のレンダリングに関する問題を調査できるように詳しいフレーム レンダリング データを追加しました。詳細はこちら(英語)をご覧ください。
ボックス選択: [Threads] セクションで、マウスをドラッグすると、四角形の領域をボックス選択できるようになりました。右上の [Zoom to Selection] ボタンをクリックする(または M キーボード ショートカットを使う)と、ズームできます。また、隣り合っている似たようなスレッドをドラッグ&ドロップすると、複数のスレッドをまたいで選択し、同時に調査できます。
Summary タブ: [Analysis] パネルに新しく [Summary] タブを追加しました。このタブには、以下の内容が表示されます。
データの表示: [Display] セクションに SurfaceFlinger と VSYNC の新しいタイムラインが追加されました。アプリの UI のレンダリング問題を調査する際に役立ちます。
Android Studio のメイン ウィンドウとは別のウィンドウで Android Studio のプロファイラにアクセスできるようになりました。この機能は、Unity や Visual Studio など、別のツールで構築した Android ゲームを最適化する場合に便利です。
スタンドアロン プロファイラを実行するには、以下の操作を行います。
<studio-installation-folder>\bin
<studio-installation-folder>/Contents/bin
profiler.exe
profiler.sh
Memory Profiler ウィンドウの上部にある [Record native allocations] をクリックすると、記録を開始します。
本資料は、Unity Technologies やその関連会社による提供または提携ではありません。“Unity” は、米国およびその他の場所における Unity Technologies またはその関連会社の商標または登録商標です。