ネットサービス

YouTubeがWindows11をサポート対象外のマシンに導入する解説動画を「身体的危害のリスク」を理由に削除、AIによるモデレーションの限界が浮き彫りに


Windows 10のサポートは2025年10月14日をもって終了し、Windows 11へ更新しなければ機能更新プログラムとセキュリティ更新プログラムの提供がなくなって安全性の点で問題ありますが、マシンによってはWindows 11がサポート対象外のものもあります。そこで、技術系YouTuberが「Windows 11のハードウェア要件を無視または回避してサポート対象外のマシンにインストールする方法」という動画をアップしたところ、YouTubeになぜか「深刻な身体的危害や死亡のリスクがある危険または違法な活動を助長している」と判断され、動画を削除されるという対応を受けたことを報告しています。

YouTube Goes Bonkers, Removes Windows 11 Bypass Tutorials, Claims 'Risk of Physical Harm'
https://itsfoss.com/news/youtube-removes-windows-11-bypass-tutorials/


チャンネル登録者30万人以上を抱える技術系YouTuberのCyberCPU Techは2025年10月20日に、「25H2でローカルアカウントを作成する確実な方法」という動画をアップロードしました。これは、Windows 11の2025年9月にリリースされた年次アップデート版である「25H2」について、正規の要件であるMicrosoftアカウントの必須化、セキュアブート等のハードウェア条件を回避して、インストール・設定する手順を説明した内容です。

Foolproof Way To Create A Local Account In 25H2 - YouTube


CyberCPU Techのリッチ氏によると、この動画はYouTubeのコミュニティガイドライン違反の警告を受けて削除されたとのこと。また、2025年10月20日にも「サポートされていないハードウェアでWindows 11 25H2のロックを解除」という動画をアップしましたが、こちらも同様にコミュニティガイドライン違反の警告を受けています。


YouTubeからコミュニティガイドライン違反の警告を受ける場合、コミュニティガイドラインのどこに抵触したのか表記されます。CyberCPU Techの2件の動画の場合は、「深刻な身体的危害や死亡のリスクがある危険または違法な活動を助長している」と表示されたとリッチ氏は話しています。リッチ氏はすぐに意義申し立てを行いましたが、最初の申し立ては45分で却下され、2度目はわずか5分で却下されたため、人の判断ではなくAIによる自動判断だと感じたそうです。

約2週間後の2025年11月3日、リッチ氏は「異議申し立てが認められ、コミュニティガイドライン違反で削除された動画が復元されました」と報告しました。リッチ氏によると、YouTubeから「再審査の結果、あなたの動画は有害または危険なコンテンツに関するポリシーやその他のガイドラインに違反していないことが確認されました」というメッセージが届いていたそうです。リッチ氏はYouTubeのAIによるモデレーションに勘違いや誤りがあったと考えましたが、YouTubeは、最初の削除と異議申し立ての却下はともに自動化によるものではないと主張しました。


同様のケースは、他のチャンネルでも報告されています。Windowsの実験やマルウェア関連の動画を投稿しているYouTubeチャンネルのEndermanは2025年11月4日に、「私のチャンネルは終了されようとしています」という動画を投稿しました。動画によると、Endermanチャンネルに紐付けられたサブチャンネルが、ゲームの「崩壊:スターレイル」のリーク情報などを発信していたと思われる「棺のスターレイル遊び」(記事作成時点でチャンネルは削除済み)と関連付けられ、著作権違反の警告を繰り返し受けたとのこと。YouTubeでは3回の違反警告を受けるとアカウント停止の処分を受けるため「3ストライク制度」と呼ばれており、無関係のチャンネルとの紐づけを繰り返し否定してもEndermanサブチャンネルは警告を受け、最終的にBANされました。

My channel is getting terminated - YouTube


Endermanチャンネルの動画では、これらの問題が発生する理由として「AI」を挙げています。YouTubeでは膨大な動画のモデレーションをAIに任せており、著作権違反の音楽が含まれていたり暴力的なワードや性的な映像が含まれていると、AIが自動的に判断してチャンネルに警告を送り、動画を収益停止や公開停止にします。Enderman氏は「チャンネル終了のような抜本的な措置がAIのみで処理できるとは知りませんでした。AIシステムに対しては、私たちは誰もが無力です」と述べています。

この件を報じたメディアのIt's FOSSは、「YouTubeの横暴さが露呈した」と批判しています。人間がレビューした場合、CyberCPU Techの技術系動画が死亡の危険をもたらすものではないと判断されることや、技術系チャンネルのEndermanがゲームのリークチャンネルとリンクしていないことは明らかです。しかし、YouTubeはチャンネル停止にいたるまでAIのモデレーションに委ねているため、正当なコンテンツと有害なコンテンツを区別するのにいかに苦労しているかが浮き彫りになっているとIt's FOSSは指摘しました。

一方で、実際にブロックされるべきスパム動画やメッセージは、AIに削除されることなく視聴者に届くケースも数多くあります。It's FOSSは「これらのプラットフォームに必要なのは、人間による監視です。自動化は支援にはなりますが、複雑なケースでは人間の判断に取って代わることはできません」と述べています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
YouTubeが違反警告システムを改定、「3ストライク」の前に注意とポリシーの再確認を促すように - GIGAZINE

Windows 10はサポート終了直前でもWindows PCの4割で使われている - GIGAZINE

YouTubeショートへの動画生成AI「Veo 3 Fast」導入などクリエイターを支援する新機能が多数加わった「Made on YouTube 2025」発表内容まとめ - GIGAZINE

YouTubeが登録者数50万人未満のクリエイターの動画を週3本まで宣伝できる「ハイプ」機能を日本など39カ国で開始 - GIGAZINE

広告ブロッカー利用者に3時間近くスキップできない広告が表示されたことを受けYouTubeが「そのような広告は設定していない」と言及 - GIGAZINE

YouTubeが「アーティストや作品を守りながらAIを活用するための3原則」を大手音楽企業と提携して発表 - GIGAZINE

YouTubeが広告ブロッカーのユーザーに「3ストライク制度」で動画視聴を制限するテストを実施中 - GIGAZINE

in AI,   動画,   ネットサービス, Posted by log1e_dh

You can read the machine translated English article YouTube removes video explaining how to ….