【長寿命】Elixir NANOWEB レビュー:定番コーティングギター弦の性能と音質を徹底解説

👆 Elixir Strings NANOWEB 定番コーティングギター弦レビュー!
目次
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Elixir Strings 定番コーティングエレキギター弦の種類について教えて!
今回はギター用やベース用の長寿命コーティング弦として定番の、Elixir Strings (エリクサー) をレビューです。Elixirのエレキギター用コーティング弦では、コーティング層の厚さ毎に3種類のモデル (セット弦) が発表されています。
ワウンド弦全体を覆う独自のコーティング技術を使用していること、高音質かつ長寿命であることは3種類全てに共通です。デフォルト弦に採用しているギターメーカーは86社にも及び、ユーザーのみならず音楽業界全体から高い支持を受けています。
知名度の高さ故に初心者の方でもElixirの名前をご存知の方は多いと思われますが、モデル毎の特徴はよく分からないかもしれません。まずは初めてElixirを手に取る方にも分かりやすいように、エレキギター用コーティング弦の特徴を種類別にまとめてご紹介です。
エレクトリック POLYWEB コーティング
POLYWEBはElixir公式が『元祖エリクサー』と謳う、一番最初に開発されたコーティング弦となります。3種類の中で最も厚いコーティングが特徴で、ノンコーティング弦とは異なる独特の温かみのあるサウンドが持ち味です。ゲージは6弦用が4種用意されています。
ギタいじインプレッション
・低次倍音の力感が伝わるバランスの良い温かなトーン
・1k~2kHzにかけて高い出力
・コーティングが厚く人によっては滑る感触有り
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エレクトリック NANOWEB コーティング
NANOWEBは適度な厚みのコーティングが生み出す、明るく煌びやかなトーンと迫力のサウンド、豊かな表現力が武器です。2025年現在Elixirの中では最も普及率が高く、YAMAHA REVSTARのスタンダードシリーズとエレメントシリーズではデフォルト弦 (工場出荷時に張られる弦) に採用されています。ゲージは6弦用が6種、6弦バリトン用が1種、7弦用が4種、8弦用が1種、12弦用が1種と、Elixir最多のバリエーションも魅力です。
ギタいじインプレッション
・高音以外も安定して出力が高く臨場感のあるトーン
・コーティング弦の代名詞とも言うべき適度に滑らかな触感
・低音を中心に仄かにボワっとした空気感有り
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エレクトリック OPTIWEB コーティング
OPTIWEBはノンコーティング弦に迫る触感とサウンドを創出すべく、Elixirの中では最も薄いコーティングが施されています。コーティング弦とは思えぬ自然なグリップ感とクリアな響きは唯一無二で、NANOWEB以上に粒立ちが良くクリスピーなサウンドです。ゲージは6弦用が5種、7弦用が4種、8弦用が1種用意されています。
ギタいじインプレッション
・非整数倍音が極めて少なく粒立ちが良い
・中~中高音が抑えられた幾分ドンシャリ傾向のトーン
・コーティング弦固有の滑り具合を抑えた新触感
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各種バラ弦
Elixirはエレキギター用のみならずアコースティックギター用、ベース用の弦において、全てのゲージをバラ弦で購入可能です。セット弦では用意されていないゲージの組み合わせが必要な場合や、切れやすい弦を予備としてストック際に役立つことでしょう。
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Elixirは2025年夏よりパッケージリニューアル!
Elixirは2017年から長らくパッケージの変更がありませんでしたが、2025年夏より久しぶりにパッケージがリニューアルされました。リニューアルはギター用とベース用、セット弦とバラ弦を問わず全ての商品が対象で、外箱のデザインだけでなく開封方法も一新されています。
旧パッケージでは外箱に添付されたステッカーを剥がして開封する仕様だったのに対し、新パッケージは外箱に開封用のミシン目付きです。ロゴのデザインも変更になるなど、新旧パッケージの比較は後程記事の中盤で詳しく解説いたします。
Elixir NANOWEB プロアマ問わず人気の長寿命コーティングギター弦!
本記事ではElixirの中でもプロアマ問わず抜群の人気を誇る、エレクトリック NANOWEB コーティングを掘り下げていきましょう。NANOWEBは先述の通り明るく煌びやかなトーンと、適度に滑らかな触感を備えたコーティング弦です。
公式では『くっきりした音色』『滑らかな弾き心地』と表現されていて、楽器店のセールスランキングでも上位常連となっています。対応ゲージが非常に多くコーティングの厚さも3種類の中で中間に位置するため、Elixirでは最も試しやすいモデルかもしれません。
ワウンド弦 (巻き弦) をすっぽりと覆う唯一のコーティング技術!
Elixirのコーティングは全モデルワウンド弦 (巻き弦) のみに施されており、ゴア社は弦全体を薄くすっぽり覆う技術で特許を取得済みです (1997年) 。巻き線の隙間に汚れが入り込むのを防ぐことで、使用に伴う汚れの蓄積や錆などの劣化による振動ロスを防ぐことができます。
ギター弦は開封した瞬間から劣化が始まる上に、指や手、脂、汗、湿度、埃など、演奏にまつわるあらゆる要素が劣化に直結です。Elixirは巻き線の隙間にまでコーティングが浸透しているため、他社コーティング弦以上に優れた長寿命化を実現しています。

長寿命化と一口に言っても伝わらないよね!

具体的には弦の動きが荒く鈍くなるまでの時間が長くなり、長期間低音と高音のロスやサスティーン減少を防いでくれるよ!
耐腐食加工を施したAnti-Rustプレーン弦!
Elixirのプレーン弦はエレキギター用もアコースティックギター用も種類を問わず、共通の耐腐食加工を施したAnti-Rustプレーン弦を採用です。標準的なプレーン弦よりも清潔で滑りの良い時間を長く保持しつつ、コーティングが無い分だけナチュラルな触感が味わえます。
公表されている情報では従来の弦よりも寿命が3~5倍ほど長く、コーティングされたワウンド弦とほぼ同等の寿命です。耐腐食加工が音質に与える影響はほとんど無いと言われており、全ての弦を鳴らした際の明るい高音の響きにも一役買っています。

ギタいじ管理人は NANOWEB Super Light #12002 (.009-.042) をチョイス!

要所で低価格帯のコーティング弦と比較しつつElixir NANOWEBを深掘りしていきましょう!
外観
Elixir NANOWEB コーティング弦は楽器の種類別に、異なるイメージカラーの紙箱を用いたパッケージを採用です。イメージカラーはエレキギター用がブルー、アコースティックギター用がパープル、エレキベース用がグリーンとなります。

コーティングの種類もイメージカラーがあり、パッケージ表のロゴ下に弦の素材と共に併記です。NANOWEBがオレンジ、POLYWEBがスカイブルー、OPTIWEBがイエログリーンとなっています。

ちなみに弦の素材も異なるカラーで識別可能!

ニッケルプレーテッドスチールがシルバー、80/20ブロンズが暗いブロンズ、フォスファ―ブロンズが明るいブロンズだよ!

エレキギターはニッケルプレーテッドスチールのみなのでベースユーザーとアコースティックギターユーザーは頭に入れておこう
新旧パッケージ比較
せっかくの機会ですので開封する前に、Elixir NANOWEBの新旧パッケージを簡単に比較してみましょう。新パッケージも旧パッケージもイメージカラーは共通ですが、ロゴは新パッケージの方がかなり大きい表記です。

代わりにコーティングの種類が小さい表記になっているので、やや視認性が悪くなったと感じるかもしれません。旧パッケージは弦の素材とゲージ、コーティングの種類など、必要な情報が表面右半分を見るだけで分かるデザインでした。


一方新パッケージは弦のゲージが右上、弦の素材とコーティングの種類は中央と、情報が散らばっている印象を受けます。率直に店頭で瞬時に見分けにくく、SNS等のElixirユーザーから新パッケージの評価が割れる要因の1つとなっている模様です。


裏面は旧パッケージがシールを剥がす開封方式、新パッケージは開封用のジッパー (ミシン目) が設けられています。新パッケージにはサウンドの明るさの目安が表記されているため、どのような音質か分からない場合は参考にすると良いでしょう。


箱の形状は旧パッケージが直方体状、新パッケージはロゴの上部のみ側面から見ると半楕円状で直方体ではありません。公式サイトのQRコードは旧パッケージは正方形状ですが、新パッケージはピック形状のお洒落なデザインです。
弦は1本ずつ個別包装
各弦のパックは紙袋を用いた非密閉構造につき、長期保管する際はコーティング弦と言えども湿度などに注意が必要となります。簡単に錆びる構造の弦ではありませんが、念のため購入後はチャック付きの袋にシリカゲル等を入れて保管することを推奨です。


1弦用の.009は9、2弦用の.011は11といった具合に、対応するゲージが小数点以下の0を簡略したインチで表記されています。弦のパックも新旧パッケージで変更になっていますが、外箱のデザインと比較するとマイナーチェンジ程度の変化です。
新旧パッケージによるバラ弦包装の違い 表


・ロゴが新デザインに変更
・『GREAT TONE ● LONG LIFE』の表記が『TONE FOR LIFE』へ変更
新旧パッケージによるバラ弦包装の違い 裏


・旧パッケージが『詳細は公式サイトまで』と3か国語で記載し主要拠点の住所を3か所表記、新パッケージは開封時の注意書きを10か国語で記載し製造工場とヨーロッパ拠点の住所を表記
※突然切れると危ないから弦に顔を近づけないでね!的な注意書き
弦のデザイン
弦のボールエンドはゲージ毎に色分けされておらず、1弦から6弦まで全て無垢のブラスカラー (金色) となっています。ワウンド弦は弦の先端部分で芯線が露出するタイプで、弦の全長よりも実際の有効弦長が少しだけ短くなる点に注意です。

とは言え有効弦長自体が全ての弦で約1000mm程度あるため、リバースヘッドやEXロングスケールでも使用できると思われます。低価格帯ギター弦は有効弦長が900mm以下の場合が多く、必然的にElixirのコーティング弦しか選択肢がない場合も多いのです。

念のため初めてElixirを使用する際は、交換するギターの必要弦長をペグポストに巻く長さも含めて調べておきましょう。
各弦の弦長実測値

NANOWEBの有効弦長は約100mmも長い
・プレーン弦
1弦:1005mm / 2弦:1005mm / 3弦:1050mm
・ワウンド弦(カッコ内は有効弦長)
4弦:1080mm (1000mm) / 5弦:1070mm (990mm) / 6弦:1070mm (990mm)
細部の加工
Elixir NANOWEBは弦の素材がニッケルプレーテッドスチールですが、ノンコーティング弦よりも僅かに光沢が抑えられています。けれども並べて比較しない限りはそこまで気にならず、低価格帯のコーティング弦よりも色艶が鮮やかです。

ボールエンドの巻き返し部分は丁寧に整えられており、弦末端の切り忘れによる飛び出しなども皆無となっております。巻き線の加工も綺麗で巻きムラが無く、価格相応に厳格な品質管理のもとで製造されているのがユーザーにも伝わることでしょう。
触感
Elixir NANOWEBの触感は『滑らかな弾き心地』と説明されているものの、コーティング弦特有の滑りやすさは人を選ぶ要素です。フィンガーイーズなどとはまた異なる滑りやすさにつき、ノンコーティング弦から交換した直後は違和感が否めません。

ピックと弦の当たりやチョーキング時の引っ掛かりも別物になるため、初心者の場合はコーティング弦への慣れが必要となります。ただしコーティング弦の触感を好むプレーヤーも少なからず存在するので、まずはじっくり弾き込んでみるのが重要です。

大半のプレーヤーはノンコーティング弦とコーティング弦、それぞれの長所を使い分けることが出来るようになります。
テンション
テンションについてはElixir固有の設計があり、コーティングの種類を問わずゲージによってテンションが共通です。Elixir NANOWEB Super Lightのテンションは1弦で13ポンド、6弦で15ポンド、全体で85ポンドになるように設計されています。
カタログスペックではD’Addario EXL120とほぼ同等のテンションで、3~6弦はElixir Nanoweb Super Lightの方が若干テンションが上手です。余談としてYAMAHAではテンションの差異が少ない点から、モデルによってデフォルト弦をD’AddarioとElixirで使い分けていると推察されます。
D’Addario EXL120ユーザーであれば、Elixir Nanoweb Super Lightへ変更した場合でも調整は最小限で済むことでしょう。
テンション比較表 (単位:ポンド)
1弦:13
2弦:11
3弦:15
4弦:16
5弦:16
6弦:15
1弦:13.1
2弦:11
3弦:14.7
4弦:15.7
5弦:15.5
6弦:14.4
交換
ここからは実際にPLAYTECH TL280にElixir NANOWEB Super Lightを張り、使い勝手や音質を確認です。
Elixirはコーティング弦の中でもチューニングの安定感が高く、ほぼノンコーティング弦と同じ感覚で使用することができます。ですが必要以上に弦をパーツ類に接触させるとコーティングが剥がれてしまうので、ブリッジやペグへ弦を通す際はご留意ください。
原則的にElixirのエレキギター弦は25.5インチレギュラースケール、およびレギュラーチューニングを想定したテンションです。弦を交換してから安定するまでに要する時間について、レギュラースケールのエレキギターをレギュラーチューニングで使用する場合はさほどかかりません。

直前に貼っていた弦とテンションの差異が激しい場合、あるいはゲージを変更する場合はオクターブチューニングや弦高等も含めた総合的な再調整が必要となります。またレギュラースケールではないエレキギターや変則チューニングで使用する場合、弦が安定するまでにかかる時間が少しだけ長めです。
そういった点を考慮してもElixirは安定感のある弦につき、よほどイレギュラーな設定のギターではない限り気にせず使うことができます。何度か交換するうちに弦が安定するまでの時間が把握できますので、ライブやレコーディングに使用する際は日数を調整して交換しましょう。
使い勝手
Elixir NANOWEBへ交換してチューニングが安定した後、一通りコードワークを交えつつ全てのフレットと弦を試してみました。テンションがD’Addario EXL120とほぼ一致しているため、EXL120ユーザーであればテンションの違和感が控え目です。

プレーン弦はD’Addario EXL120ほどチョーキング時に指へ食いつく弾性はないものの、極度に硬過ぎぬ芯の強さと折れにくいタフさを感じさせます。ピックで強く弾いた際も復元力が高いのでバズりにくく、FRT搭載ギターでアーミングを交えたプレイでも全く問題無しです。
巻き線の隙間まで浸透するコーティング技術の高さを証明するかのように、Elixir公式はフロイドローズ搭載ギターへの弦交換解説も行っています。低価格帯のコーティング弦で頻発する、アームアップとダウンを繰り返すだけでコーティングが剥がれてしまう心配もありません。
ワウンド弦の表面はドライな滑りやすさがあり、オイルのようにヌルっとしているのに指先は湿っていないという不思議な触感です。Elixir NANOWEBの使い勝手を議論する際に、十中八九この独自性の高い触感の良し悪しが語られると思います。
それほどノンコーティング弦と触感の違いが激しいので、コーティング弦は予め『そういうもの』と割り切った方が良いでしょう。コーティングで弦表面が滑りやすい分だけ、Elixir NANOWEBの方がEXL120よりも運指時のスピードが速くなりやすい傾向です。

グリッサンドやスライドを交えたプレイは滑り過ぎないように、演奏感覚の微調整が求められます。アタック時のピックの当たりも幾分滑りやすく、余弦ミュートテクニックの上手さが問われそうです。
コーティングが一気に剥がれるのでピックスクラッチには適さず、効果音として必須の場合はコーティング弦を弦の選択肢から外す方が無難となります。
生音
アンプを通さない生音はノンコーティング弦に負けない出力を備え、高音を中心に全帯域で程よい力感のあるサウンドです。Elixir NANOWEBは煌びやかな高音を長所としていますが、パンチのある中音からは古き良き時代のギターの音が漂います。

低音は十分なパワーがあるもののElixir NANOWEB固有の重さがあり、常に音程を感じさせぬ空気のベールで覆われているイメージです。コーティングの影響で純粋な弦振動+αの音が加わるのか、敏感なプレーヤーであればコーティング弦の越えられない壁を悟ると思います。
ズシンとお腹に響くタイトな強さだけではなく、音全体に重力がのしかかるような味付けです。高音の伸びの良さに隠れる上にコード全体では気にならない程度の味付けであるものの、思いのほかサウンド面の好みを分ける要素かもしれません。

ボワっとした低音をユニークな長所と捉えるか雑味と捉えるか、音にシビアなプレーヤーから意見が分かれる要素だね
サウンドデータをElixir NANOWEBと激安コーティング弦で徹底比較!

管理人の主観だけでは説得力に欠けるため、Elixir NANOWEBのサウンドをPLAYTECHの激安コーティング弦EGSC-0942と比較検証します。Elixir NANOWEB Super Lightのサウンドを基準に、激安コーティング弦とどのような違いがあるのかを多角的に確認です。倍音特性 (ワウンド弦/プレーン弦) 、周波数特性、サスティーン、音の立ち上がり、以上4項目について順番に見ていきましょう。
倍音特性の比較 (ワウンド弦 A2/110.00Hz)

ワウンド弦の倍音は、5弦開放弦 (A2/110.00Hz) のスペクトラムを比較しました。
a.Elixir NANOWEB Super Light

b.PLAYTECH EGSC-0942

Elixir NANOWEBはクッキリした音像を物語るように、基音と低次倍音の出力 (縦軸) が高くパワーのあるサウンドを決定付けています。ノンコーティング弦にも負けない出力につき、公式の謳う『従来のエレキ弦と変わらない存在感、迫力』を体現です。
更に倍音間の出力が適度に揃っていないため、コーティング弦にありがちなコンプレッション感が強くありません。倍音が計測された帯域 (横軸) も広く、艶のある鮮やかなサウンドはElixir NANOWEBならではと実感できます。
先述の音全体に重力がのしかかるような重さの裏付けとして、50~800Hzにかけて若干非整数倍音が高まる傾向です。高次倍音も出力が高いのでブライトなサウンドですが、低音から中音は幾分モヤのかかったような空気感を内包しています。

激安コーティング弦と比較するとバランスの良さと出力の高さ、倍音のゴージャスさが一目瞭然だね!
倍音特性波形 (ワウンド弦) の周波数目安
左端側の太長い山(中央灰色線)が基音110Hz 偶数次倍音:第2倍音(220Hz)、第4倍音(440Hz)…… →ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も 奇数次倍音:第3倍音(330Hz)、第5倍音(550Hz)…… →金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き 非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
倍音特性の比較 (プレーン弦 B3/246.942Hz)

続いてプレーン弦は2弦開放音 (B3/246.942Hz) を使い、各弦のスペクトラムを比較しました。
A.Elixir NANOWEB Super Light

B.PLAYTECH EGSC-0942

Elixir NANOWEBのプレーン弦はコーティングではなくAnti-Rustプレーン弦につき、サウンドはノンコーティング弦そのものです。ワウンド弦側と同様に力強い基音と低次倍音の出力を併せ持ち、中高音から超高音にかけてゆるやかに倍音の出力が減衰していきます。
アタックの強さと倍音の煌びやかさに加え、高い音域の倍音が前に出過ぎぬ出力バランスが絶妙です。コーティングが無い分だけ非整数倍音の値も低く、クリアでメリハリのある『伝統的な高音弦の音』を奏でてくれます。
PLAYTECH EGSC-0942は基音より低い帯域に山が発生していますが、これは非整数倍音というよりも弦の緩みで発生するバズ音です。テンションが緩すぎる弦で発生しやすいものの、Elixir NANOWEBに関してはテンション不足によるバズ音が発生しにくい部類の弦だと言えます。
倍音特性波形 (プレーン弦) の周波数目安
左端の太長い山(中央灰色線)が基音246.942Hz
周波数特性の比較

周波数特性はDI直で同一フレーズを繰り返し、平均的なスペクトラムを算出しました。
1.Elixir NANOWEB Super Light

2.PLAYTECH EGSC-0942 コーティング弦

バスウッドボディにアルニコ5ピックアップを乗せたテレキャスタータイプは、DI直では中道をいく山型の波形が特徴です。タイトな低音と高い出力の中高音、伸びの良い高音は、Elixir NANOWEBがコーティング弦であることを忘れさせるほど整っています。
PLAYTECH EGSC-0942と比較すると出力差が顕著で、周波数特性の面からも従来のエレキギター弦と変わらない存在感と迫力です。バッキングもリードフレーズもこなせるだけでなく、薄いピックや指弾きでも音が丸くなり過ぎずオールラウンドに活用できます。
周波数特性波形の周波数目安(左から順に)
赤枠線:100Hz,200Hz
橙枠線:400Hz,800Hz
桃枠線:2000Hz,3000Hz,6000Hz
サスティーンの比較
サスティーンはDI直で開放弦Eコードを1ストローク鳴らし、出力が0になるまでの時間を計測です。Elixir NANOWEB Super Lightのサスティーンを基準に、PLAYTECH EGSC-0942と比較して±何%音伸びが変化するのかを確認します。

なお人力でもデータ精度を上げるため、えげつない回数のストロークを繰り返しました。計測された各サスティーンデータを元に、平均%、最小%、最大%の3通りを算出です。
平均:+2.4%
最小:+6.0%
最大:+3.5%
Elixir NANOWEBは出力がほぼ全帯域で安定して高いので、低出力なコーティング弦よりもサスティーンは全面的に優位に立てます。ワウンド弦側はノンコーティング弦ほどの伸びは期待できないものの、それでもコーティング弦としては十分な音の持続力です。
音の立ち上がりの比較
サスティーンの計測と平行して、音の立ち上がりについても調査しています。Elixir NANOWEB Super LightはPLAYTECH EGSC-0942よりも、平均して2.6ms (0.0026秒) ほど鈍化傾向です。
コーティングが巻き線の隙間まで浸透している構造のためか、4~6弦はゆるやかな音の立ち上がりとなります。無論1~3弦の立ち上がりはノンコーティング弦準拠につき、立ち上がりの良さを求めるプレーヤーはOPTIWEBを選ぶと良いでしょう。

Elixir NANOWEBのワウンド弦は弦全体をすっぽりコーティングする構造なので、どうしても立ち上がりが鈍く感じるかもね
計測に使用した機材
ギター:PLAYTECH / TL280
比較用ギター弦:PLAYTECH / EGSC-0942
ギターペグ:KIKUTANI / GM-ST3
ストラップ:PLAYTECH / Jacquard Strap PJ23 Pink
ピック:PLAYTECH / TRIANGLE PICK HEAVY (デルリン)
ピックアップ:HOMELAND / クリアボビン TLピックアップ (ブリッジ)
イントネーションスクリュー:uxcell / pc ハンドルネジ M3x16mm (グリーン)
シールド:ARIA / JG-10X (10ft/3m, S/S)
マイクケーブル:Amazon / CLMIC1-M-F-10FT-5P×1
余談


各種データについては半年前にElixir NANOWEBの旧パッケージを比較に使用したPLAYTECH EGSC-0942レビュー時のデータと概ね一致しました!
エリクサー弦のパッケージデザインが変更となります
ご購入いただく店舗およびご購入いただく時期によりパッケージが異なる場合がございます。ご希望のデザインをご指定いただくことは承りかねますので、予めご理解・ご了承の程よろしくお願いいたします。
※中身の仕様・品質に違いはございません。

Elixir公式が発表しているように、新旧パッケージによる弦の仕様・品質面の変更は無いと考えて良いでしょう!

Elixir Nanowebとノンコーティング弦の比較が知りたい場合は下記記事を参考にしてね!
寿命について
最後に弦の寿命につきまして、ノンコーティング弦とは比較にならないほど長期間弦の鮮度を保てるのがElixir最大のメリットです。汚れの蓄積や腐食を防止することで弦のフィーリング、サウンド共に、演奏環境によっては1か月以上も良好なコンディションを保てます。
ご使用の弦や使用頻度によって異なりますが、通常であれば1ヶ月から3ヶ月を目安としてください。弦は切れない限り使用できますが、古い弦はピッチが不安定になり音も鈍くなります。
引用:ヤマハ _ 【ギター全般】弦はどれくらいのサイクルで張り替えれば良いですか?
参考までにElixir NANOWEBを採用しているYAMAHAでは、具体的に1ヶ月から3ヶ月という日数を公表していました。しかしElixirでも通常のノンコーティング弦と同じく、数週間で音の劣化が始まるプレーヤーが存在するのも事実です。
・金属ピックや厚いピックの連続使用
・激しいアーミングの多用
・強烈なフルピッキングを繰り返す速弾きスタイル
・弦が切れるほどの力強いストローク
こういったプレイスタイルに関してはElixirを使用した場合でも、ノンコーティング弦と寿命に大差が無い傾向があります。力強く弦にアタックするプレイスタイルは弦への物理ダメージが蓄積されやすいため、音質低下以上にピッチが安定しなくなるのです。

新品時よりもコーティングが薄くなっている
(部分的に剥がれている、の方が正しいかも)
チューニングが狂いやすくなったり、オクターブのピッチが合わなくなるなど、演奏時のフィーリングに悪影響を及ぼします。例えコーティングで覆われていようとも、弦への衝撃や過度の伸縮による金属的な疲労による寿命はElixirでも延命が難しいとお考えください。
Elixir NANOWEB コーティングギター弦 まとめ
世界的なメーカーやプレーヤーからも高く評価されているのが頷ける、高音質かつ高品質な長寿命コーティングギター弦です。ラウンド弦をすっぽり覆うコーティング技術とAnti-Rustプレーン弦が汚れと腐食を寄せ付けず、長く安定したサウンドとフィーリングを維持してくれます。

コーティング由来の滑りやすい触感は好みが分かれますが、補って余りある弦のロングライフ化はプレーヤーの大きな味方です。普段使いは勿論のことライブにもレコーディングにも最適で、バランスの良いトーン、快適さ、演奏性を長く楽しむことができます!
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NANOWEB コーティング (エレキギター用)
POLYWEB コーティング (エレキギター用)
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貴方こそ試すべきエレキギター弦関特集!
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