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2008年7月8日火曜日

gainer clone で「かざぐるま」あるいは PWMによるモーターの駆動 (2)

前回のあらすじ
Gainerモジュールにトランジスタアレイでかざぐるまを駆動することに成功したCUE。
しかし、そのモーターからは脳を直撃する怪音が無限に鳴り響く!

すこし時間があいてしまったが、前回の最後で述べたとおり、怪音をなくすためにはPWMの周波数を変更するのがもっとも一般的かつ効果的な手法である。しかしながらgainerの配布されているファームウェアでは、PGAのゲインはコマンドで変更できてもPWMの周波数は変更できない。ということで、「Gainerのファームウェアを改造してノイズが出ないモータを実現するぞ」プロジェクトを決行した

当方ではファームウェアの不具合について感知しないのはもちろん、ファームウェアの焼き込みサービスも行ってないのであしからず。秋月電子などから PSOC miniProg を手に入れて各自で焼き込んでもらいたい。どのように作業したかは以下のとおりである。


1. ファームウェアの入手
firmware はgainer.cc のページからダウンロードできる。以下のページからファームウェアのソースファイルをダウンロードする。ダウンロードできたらこれを unzipして展開しておく。

2. ファームウェアの展開
ファームウェアはzipなので適当なツールを使って展開する。このとき置き場所は日本語の入っていないディレクトリでなければ、PSoCデザイナでmakeするときに不具合がでることがあるので注意したほうがよい。僕は C:\ に直接展開したフォルダをそのまま移動した。

3. 設定画面をながめる
書き換えポイントを探るためにコンフィグとソースをよく見て考える。
config_a にPWMモジュールが8つ発見できたので、これが出力用のPWMに違いないとあたりをつける。そのときに、PWMのクロックをどこからもらってるかを配線からながめると16ビットのカウンタを使ってブロードキャストバスに信号を流し込み、そのバスの信号をクロックとして使っているということがわかった。


その後で、ソースコードをかるく読んでみるとまさしく config-a の PWMモジュールの山がそのままPWMとして出力されることがわかる。これでconfig-a のPWMモジュールのクロックを書き換えるという方針が決定した。




4. 使えそうなクロックを探す
使えそうな clockとして Gainerの生の設定でPSoCモジュールが供給しているのは、24MHzの生クロックのほかこれを分周して作っている VC1,2,3 のそれぞれさらに専用のcounterにより作りだされているもともとのPWMの信号がある。それぞれのクロックはどれくらいの周期かというとPWMでは 256クロックで1周期ということなのでCPUCLK 24MHz が およそ 100KHzとなるがこれはすこし早すぎるようだ。

VC1は 24/3 = 8MHz VC2は 8/4 = 2MHz であり、これをさらに 1/256したものが周波数になる。よって VC1でおよそ 32KHz VC2では 8KHz となる。超音波領域に突入することが目標なので、 VC1のほうを採用することとした。

これをそのまま PWMのクロックに入れればいいのだが8つある設定を書き換えるのは大変なので大本となっている PWM用のカウンタであるCounter16に入力することにした。

このままでは counter16のソースが 8MHzとなったはいいがカウンタをつかってさらにスピードを落としているので、それをカウントしている部分を探すこれはソースコードのほうで発見した。
クロックの比は 1:1 なので226行目(あたり)のところの Counter16_A_PWMClk_WritePeriod(0); を 0に書き換える。これで毎回カウントアップのたびにCounterがあふれているはずだ。
実際のところcounter16など使わなくても、直接配線をVC1に変更しまくればそれでもOKなのだが、その場合には書き換えるポイントが8つになってしまうので、間違い等があると大変である。そこで今回はCounterはそのまま使って、そのカウンタの周期を修正したのである。修正ポイントのコードは以下のとおりである。

--ここから
// start analog outputs
// Counter16_A_PWMClk_WritePeriod(157); // 50Hz (i.e. 20ms)
  Counter16_A_PWMClk_WritePeriod(0); // 10KHz (i.e. 1ms)
Counter16_A_PWMClk_WriteCompareValue(0);
Counter16_A_PWMClk_Start();
--ここまで



この2つをやってからbuild を行う。今回はHitechC のフリー版つかってmakeを行った。Gainer自体はもともとimage-craftのコンパイラで作られていたはずだが、何の問題もなくコンパイルもおわったのでこれを miniprogを使って書き込んで完成である。

これで動作させればPWMでモータを駆動させても音がならないGainerが完成である。モータが動かなくなるくらい低いPWM値の場合にモータからの異音がしなくなるのがわかるはずだ。

改変した後のHEXファイルはこちらにおいておく。そのままmini-progで焼き込めば動くはずだ。

2008年6月25日水曜日

gainer clone で「かざぐるま」あるいは PWMによるモーターの駆動

Gainerは設定にもよるが 4ないし8本のアナログ出力(PWM)を使うことが出来る。前に作成した power gainer は電源にもよるがトランジスタアレイにより小型のモータを回転させるには十分な電力を供給することができる。そこで、前からやってみたかったアンビエントディスプレイである「かざぐるま」を作ってみた。

これは MITのメディアラボで行われているタンジブルコンピューティングの象徴的なアンビエントデバイスの一つである。(詳しくは Media LabのTangible Media Group を参照。) 

使ったのは前に作成したTD62083をワンボードに組み込んだGainer(Power gainer)とタミヤのプーリー基本キットである。これらをささえる土台となっているのは、100円ショップで買ってきたアクリルのメニュー立てだ。プラスチックのプーリーをゴムベルト(ゴムバンド)で回転させるプーリーキットは回転時に音がほとんどしないので、ギアボックスと違い常時動かしておくアンビエントディスプレイに適している。これに、ケント紙で作った風車を両面テープで貼付けてハードウェアのほうは完成である。



gainerのconfiguration3ならばPWM出力が8ch仕様ということで作成した風車のセットを同時に8つコントロールできるが、今回はサンプルということもあり1つの風車だけで満足しておくこととする。8ch同時で動かすにはUSBに寄生するだけではなくターゲットボードにACアダプタ等の外部電源が必要だろう。

このgainerをコントロールするプログラムはまず、テスト用ということで簡単なものを用意した。マウスカーソルを動かすとそれに従ってアナログ値が変化するものだ。これで、ウインドウ上をマウスを左右に動かすだけで回転を変化させることが出来るので動作確認には十分だろう。このプログラムはPWMで動かすデバイスの試験にいつも使っているものでもある。




以上のように風車は簡単に動くところまではきたのだが、ひとつ大きな問題が残ってしまった。ほとんど動いていないときもピーピーとモーターから音がする。これは Gainerの PWMの周波数が1KHzであるため、 1KHz周期でモータが振動してしまっている音であり、PWMでモータを動かす場合に起きる現象だ。このノイズを解決するためにはモータを駆動するPWMの周期を25KHz以上に上げる方法がよく使われる。こうなると、モーターの振動音が超音波の領域に入るため人間には聞こえなくなるのである。もちろんノイズがなくなるわけではないので、コウモリやイルカには迷惑なのかもしれないが、そこは気にしないことにして、ファームウェアを改造しPWMの周波数を上げる対策をとることとした。

(つづく)

PWMテスターのソースコードは以下のとおり。

----------
import processing.gainer.*;

Gainer gainer ;


void setup() {
size(500,100) ;
gainer = new Gainer(this) ;
}

void draw() {
int i ;
background(mouseX/4) ;

for ( i = 0; i<500;i+=100) {
stroke(255,0,0) ;
line(i ,0,i,100) ;
}

gainer.analogOutput(1,mouseX/2) ;
stroke(0,0,255);
line(mouseX,0,mouseX,100) ;
println("NOW: " + mouseX/2 + "*" ) ;
}
----------

2008年6月24日火曜日

Processingでtwitterと http認証 (basic auth)

Processingをつかって、httpをしゃべらせることは難しくはない。ただ通信してページを取ってくるだけならば、loadStrings() の引数にURLを指定してやれば、自動的にJavaのURLクラスを使ってStringsの配列として格納できる。これをつかって、twitterのデータを読み込もうとおもったのだが、twitterではbasic authを使わなければ自分のfriends timelineを取り出すことが出来ない。そこで basic authを processingでやってる例をさがしたのだが、発見できなかったので生のjavaでのbasic authの方法をそのまま取り込んで実現してみた。

さまざまなページによると javaでのhttp認証では java.net.authenticator とjava.net.PasswordAuthentication の2つのクラスを使い、Authenticator クラスを継承した認証クラスを作ってハンドラを設定する、というのが正解らしい。つまり、以下のようなコードとなるわけだ。



import java.net.Authenticator;
import java.net.PasswordAuthentication;

//public
class BasicAuth extends java.net.Authenticator{
private String user;
private String pass;
public BasicAuth(String user, String pass)
{
this.user = user;
this.pass = pass;
}

protected PasswordAuthentication getPasswordAuthentication()
{
return new PasswordAuthentication(user,pass.toCharArray());
}
}




このクラスの利用方法は、user名とpasswordを設定して作成したクラスのインスタンスを生成し、そのあとで、Authenticator の setDefaultを呼び出す。前処理としてこの作業を行うと以降の http通信で認証が必要とされる場合には設定した情報をベースに自動的に認証が行われる。これをそのまま、processingに追加して使った。Processingは基本的にjavaそのものなので、このような場合の拡張は非常に簡単ですばらしい。
本当はpackage化してライブラリとするといいのだろうがそれはまた今後の課題ということにしておこう。

さて、現実にtwitterの出力するXMLの解析には、simlpeMLというライブラリを使うことにした。simpleMLはdaniel shiffman(http://www.shiffman.net/) の開発したライブラリであり彼のページからダウンロードできる。loadStrings()を使うよりもよい点は、後で XMLライブラリを使ってエレメントを取り出すよりも簡単なことと thread をつかって非同期にhttpリクエストを発生させて、ページを取得できたときにイベントを発生させることが出来る点である。とくに後者は、一定時間ごとにページを取得して書き換えるような動作を行いたい場合には、非常に有効であろう。

timelineの twitterAPI呼び出しを行うにはBasic認証付きでAPIで定められたURLを呼びだせばよい。受信形式はいろいろ見比べた結果、後処理がもっともやりやすそうなRSS形式を指定した。これらをまとめるとコードは以下のようになる。あとは、数分おきにreloadをするとか、スクロールするとかのフィーチャーを盛り込めば、twitter viewerとしての機能は十分だろう。
ちなみに書き込みは post method が必要なのだが、こちらも processingで使えるモジュールはなさそうなのとすこし複雑な処理が必要そうなのでもう一工夫必要なようなので今後の課題としておこう。
動作させるためには、フォントを作成する必要がある。Processingのメニューから Tools-->Create Fontを選択すると次のような画面が出るので Osakaフォントの16pointを指定する。日本語表示には日本語のフォントも必要なので All Fontのチェックボックスにもチェックをいれておく必要があるだろう。こうやってフォントを作成した後、コードの中の user と pass を自分のものに入れ替えれば動作させてみることができる。



--------------------------------
import simpleML.*;

import java.net.Authenticator;
import java.net.PasswordAuthentication;

// configration
String user = "uname" ;
String pass = "xxxxx" ;

// request url
String url = "http://twitter.com/statuses/friends_timeline.rss" ;

//public
class BasicAuth extends java.net.Authenticator{
private String user;
private String pass;
public BasicAuth(String user, String pass)
{
this.user = user;
this.pass = pass;
}

protected PasswordAuthentication getPasswordAuthentication()
{
return new PasswordAuthentication(user,pass.toCharArray());
}

}


XMLRequest xmlRequest;

void setup() {
size(screen.width/2,screen.height/2);


BasicAuth tw_authenticator = new BasicAuth(user, pass);
Authenticator.setDefault(tw_authenticator);

// Creating and starting the request

xmlRequest = new XMLRequest(this,url);
xmlRequest.makeRequest();
}

void draw() {
// background(frameCount % 255);

}

// When the request is complete
void netEvent(XMLRequest ml) {

PFont fontA = loadFont("Osaka-16.vlw");
textFont(fontA, 16);

// Retrieving an array of all XML elements inside "" tags
String[] titles = ml.getElementArray("title");

for (int i = 0; i < titles.length ; i++) {
println(titles[i].replaceAll("\n",""));
fill(10*i,0,0) ;
text( titles[i].replaceAll("\n",""),5,18*(i+1)) ;
}

}

--------------------------------


ここまで。

2008年3月31日月曜日

gainer clone (互換機)でサーボを動かす

LEDばかりでは面白くないのでgainer を使ってラジコン用のサーボを動かしてみることにした。このサーボモータはもともとはラジコン自動車、飛行機などでつかわれていたが、最近ではロボコンブームのおかげでその基幹パーツとして多種大量に供給されるようになってきている。

一般的なラジコン用サーボモータはアナログのPWM信号によって移動角を制御している。基準として 1msecから2msecのパルス幅を投入すると、その幅に応じた角度にサーボモータの軸が回転する。これを周期的に与えてやることでその角度を維持したり、動作角度を変更したりすることが出来る。ロボットの場合には、この周期をどこまで早められるか、応答速度や、トルクといったメカトロてきな要素が非常に重要になるのだが、インタラクションデザインのためのサーボにはそこまでの精度は要求されないのが一般的だ。今回はgainerのアナログ出力が実際には電圧変化ではなく、PWM信号を用いていることを利用し、サーボモータの駆動を試してみることとする。

アナログサーボには個体差があるので、両端のぎりぎりの部分を使うためには、それぞれのサーボに応じたパルス幅を調べる必要がある。Aout(0) にサーボの信号線を繋ぎ込んで利用する前提で作成したコードは以下のとおり。
 
コントロールなしのダイアモンドカーソルでサーボの稼働角を調整できる。 E/X で 5ステップづつS/D で1ステップずつの稼働となっている。

コンソールに現在の数字が出るので幅を記録していこう。一般的な安いサーボモータは最大と最小で180度前後の回転角を得ることができる。Analogoutが最大で8ch までとることが出来るので、8個のサーボなら同時に動かすことが出来るはずだ。ただしその場合には、電力が足りなくなると思われるので、サーボ駆動の電源を別途用意する必要があるだろう。

手元のサーボで試したところパルス幅が 8から30程度ということで 180度を20分割程度にはできるようだ。回転角がシビアな用途でない、見せるための作品であれば十分に実用的な範囲だと考えられる。






import processing.gainer.*;
Gainer gainer ;
int i ;

void setup() {
gainer = new Gainer(this) ;
frameRate(5) ;
i = 20 ;
}

void keyPressed() {

switch(key) {
case 'x':
i -=5 ;
break ;

case 'e':
i +=5 ;
break ;

case 's':
i -- ;
break ;

case 'd':
i ++ ;
break ;
default:
}
}

void draw() {
gainer.analogOutput(0,i) ;
println("NOW: " + i + "..." ) ;
}

2008年3月12日水曜日

Gainer Clone でwebcamを操作する

前回はハードウェアをブレッドボード上にならべて満足したので次は簡単な実装としてgainer備え付けのボタンを押すとシャッターが切れてwebcamから写真がとれる、というものをつくってみた。基本的にはボタンだけでは面白くないがこのボタンを光電センサやドアの開け閉めに連動させればパソコンのキーボードを押してwebcamを操るのとは違うことができるはずだ。単純にボタンだけであっても長いUSBケーブルさえ用意すれば、レリーズのように遠隔でシャッターをおすことも可能だ。玄関のドアやブースの外側といったところにカメラをむけてセンサーをおけば、監視カメラとしての役割くらいは十分にこなせる。

コードは非常に簡単で写真を撮るためのcaptureオブジェクトの read をボタンが押されたときのハンドラに登録し画面に表示するだけだ。ほとんど何の処理もしていないが、サンプルコードは以下に示す。撮られた画像は画面に表示するだけなので、セーブが必要ならばそのようなルーチンを書き足す必要がある。
動作確認は OSX10.5 で内蔵の isight をつかって行った。カメラとgainerがうごけばwindowsでも動作するだろう。

この発展であるセンサーのアナログ値を使ったカメラの駆動はまた後ほどということで。



/*
capture by button

*/

import processing.gainer.*;
import processing.video.*;

Gainer gainer ;
Capture cam ;

void setup() {

size(320,240) ;
frameRate(24) ;
background(0) ;

cam = new Capture(this,320,240) ;
gainer = new Gainer(this) ;
delay(100) ;
cam.read() ;

}

void draw() {

if ( gainer.buttonPressed ) {
cam.read() ;
}
image(cam,0,0) ;
}