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次のステージに上がるために大切なことは?

双日・植村幸祐社長(4月7日)

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双日は2004年に発足した日本でもっとも若い総合商社ですが、もともとはニチメンと日商岩井という、ともに100年を超す歴史を持つ2つの企業でした。1990年代のバブル経済の崩壊やアジア通貨危機により財務体質が悪化し、経営統合するという結論になったのです。

統合後も少なくとも10年は財務体質の改善が最優先という状況が続きました。その結果、ビジネスの起点をそれまでのファイナンスから事業投資へと大きく変える必要性が高まっていましたが、他社と比べて不利な条件下での戦いを余儀なくされます。悔しい思いをしたことは1度や2度ではありません。

もっとも、こうした経験は当社だけのものではないと思っています。口幅ったい言い方かもしれませんが、当社の歩みは「失われた30年」で苦しんだ日本経済のそれと重なります。ともに長いトンネルを抜け、ようやく光が見えてきました。当社では2期連続で連結純利益が1000億円を超えました。

ただ、ここで立ち止まっていてはいけません。優秀な人材を確保して将来のための投資を増やす、さらに社会に対する責任を果たすためには一定規模の利益が必要になります。また、持続性も重要です。そのために当社はまず、2030年ごろまでに純利益を2000億円規模に増やす目標を掲げました。

これまでの延長線上だけでは新たなステージに立つことは難しいと考えています。当社には社会のニーズを先読みし、事業を創出してきた歴史があります。神戸製鋼所帝人などは前身企業が創った事業の一例です。こうした「DNA」はしっかりと引き継ぎつつ、事業の内容や仕事の進め方を変えていかなければなりません。

重要なのは「個の強さ」は当然のこととして、組織全体の力を高めていくことです。目指しているのは自分で考えて自律的に動ける人材が多い組織。日々の仕事に追われると惰性に流されがちですが、一歩引いて「何のためにその仕事をしているか」「価値や機能を考え、打ち出せているのか」を見つめ直し続けることが不可欠です。

こうした話をする背景には個人的な経験もあります。7年前、古巣のエネルギー部門から化学部門に移った際に目にしたのは、ややもするとバラバラになりがちな140〜150人の所帯でした。真剣に組織について考えたのはこのときが初めてでしたが、たとえ3割でも考え方が変わると大きな変化が起きて成果につながったのです。

私の次のチャレンジはこうした取り組みを全社、そして2万4700人超のグループ全体に広げていくことです。読者の皆さんも様々な場面で新たなステージに立つことがあるかと思います。その際に必要なこと、重要になることは何でしょうか。ワクワクするアイデアを楽しみにしています。

双日・植村幸祐社長の課題に対するアイデアを募集します。投稿はこちら(https://esf.nikkei.co.jp/future20250407/)から。

編集委員から

双日は設立から20年の節目を迎えるにあたり、「双日らしさとは何か」を深掘りする社内横断プロジェクトを立ち上げました。社員アンケートやディスカッションを重ねましたが、議論百出。結局、1つのキーワードにまとめることはできなかったそうです。

20年あまり前、若手記者として商社業界を担当させてもらったことがあります。双日の前身となる企業で印象的だったのは個性的な社員が多かったことです。20周年プロジェクトの結果も「個の強さ」が理由かと考えましたが、植村社長の答えは意外にも「違う」でした。個が強いのはもちろんだが、組織も重要というのがその意味するところです。

よくよく考えてみると自由と安全、競争と協調、仕事とプライベートといった、ともに重要であるものの共存が難しいとされる概念は身の回りにたくさんあります。単純化と先鋭化が進むなか、二律背反を両立させる知恵が求められているのは双日だけではありません。(編集委員 奥平和行)

◇    ◇

今回の課題は「次のステージに上がるために大切なことは?」です。420字程度にまとめた皆さんからの投稿を募集します。締め切りは15日(火)正午です。優れたアイデアをトップが選んで、28日(月)付の未来面や日経電子版の未来面サイト(https://www.nikkei.com/business/future/)で紹介します。投稿は日経電子版で受け付けます。電子版トップページ→ビジネス→未来面とたどり、今回の課題を選んでご応募ください。

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