⼤規模医療データベースを活⽤した
治療効果研究の計画と報告
公益財団法⼈ 東京都医学総合研究所
精神⾏動医学研究分野 ⼼の健康プロジェクト
奥村 泰之
臨床疫学研究における報告の質向上のための統計学の研究会 第32回研究集会
2018/10/13 (⼟) 13:30~17:55
お茶の⽔医学会館 9階⼤会議室
(伝統的)臨床試験の限界
臨床試験における患者や臨床家は,実臨床と乖離しがち
⾼齢者や併存症を有する患者は,実臨床より少なくなる
臨床試験にあまり含まれていない患者層では,検出⼒が低い
患者の利益と乖離した代替エンドポイントを使いがち
頻度の低い有害事象などを検出する能⼒が低い
2Booth CM, Tannock IF: Br J Cancer. 2014 Feb 4;110(3):551-5.
抗認知症薬の臨床試験と実臨床の乖離
要因 臨床試験の課題
年齢層 85歳未満が中⼼
併存症 実臨床より少ない
アウトカム 短期 (6か⽉時点) の認知機能障害
3Winblad B et al: Lancet Neurol. 2016 Apr;15(5):455-532.
4
実臨床から蓄積されるデータ(real-world data)
電⼦カルテ レセプト
ソーシャルメディアスマートデバイス
症例レジストリ
気象データ
国勢調査 社会経済的データ
研究法に係わらず,実臨床のデータから
強く実践を志向した研究(real-world evidence)
Jarow JP et al: JAMA. 2017 Aug 22;318(8):703-704.
リアルワールド・エビデンスへの関⼼
(伝統的)臨床試験と実臨床の架け橋
5
実臨床から蓄積されるデータに
臨床試験を組み込む
臨床試験の結果を実臨床で
関⼼のある集団に当てはめる
ランダム化を模倣する
統計⼿法を活⽤する
Pencina MJ et al: Ann Intern Med. 2018 Sep 18;169(6):401-402.
実臨床のデータに臨床試験を組み込む
6Jones WS et al: J Am Coll Cardiol. 2016 Oct 25;68(17):1898-1907
候補となる患者の
抽出
同意取得と
ランダム化
評価項⽬の測定
臨床試験の結果を実臨床に当てはめる
7Berkowitz SA et al: J Am Coll Cardiol. 2018 Sep 11;72(11):1214-1223.
実臨床で良くみられる
患者を⾼く重み付け
実臨床の
患者背景
臨床試験の
患者背景
効果の推定
ランダム化を模倣する統計⼿法
8Mansournia MA et al: BMJ. 2017 Oct 16;359:j4587.
リアルワールド・エビデンスの課題
9
バイアスと交絡
プロセスの透明性
実施の透明性
Cox E et al Value Health. 2009 Nov-Dec;12(8):1053-61.
Berger ML et al: Value Health. 2017 Sep;20(8):1003-1008.
Wang SV et al: Value Health. 2017 Sep;20(8):1009-1022.

大規模医療データベースを活用した治療効果研究の計画と報告