指定されても、18歳以上への販売は可能だ。しかし、「不健全」という言葉によって「発行禁止処分を受けた」という誤解が生まれ、事業者が成年向けの販売すらやめてしまうことがあるのだ。
作家に対しては「エロ漫画家」「不健全なんか書いているんじゃない」というような批判がSNSで寄せられることもあるといい、それが精神的苦痛となっている。
ただ、「不健全」かどうかを決めるのは審議会の委員で、その人間の感性に左右される。森川さんは「いかなる人間が選んでも、好みの問題、その人にとっての不健全になってしまう。好みで指定されて、『これはダメですよ』といわれた作家はたまらないだろうなと思います」と指摘。「ボクシングを描いている僕がいつ、『暴力的だ』と指定されるかも分からない」と不安を語る。
同様の制度は東京都以外の道府県にも存在する。名称変更を求める運動の発起人である前都議の栗下善行さん(39)は「ほかの道府県では『有害図書』という名称でもっとひどい。全国的に影響がある東京都が改めると、全国的に『有害図書』という名前が見直されるきっかけになる」と話す。
陳情に関する審議は9日の都議会文教委員会で行われる。