三菱商事は先日、事業化を予定していた千葉県と秋田県の3海域での洋上風力発電所建設から撤退すると発表した。建設費の高騰により採算が合わないと判断したためだ。三菱商事と中部電力などの企業連合は、2021年に政府が公募した洋上風力プロジェクトへの入札で1kWh(キロワット時=1000Wの仕事を1時間続けられる電力)当たり11.99〜16.49円と競合他社より5円前後安い価格で「総取り」した。今回はそのプロジェクトからの撤退である。この件は大きく報じられたが、世界を見渡せば、洋上風力は「採算が合わない」と判断される例は少し前から多くなっていた。 TEXT:牧野茂雄(MAKINO Shigeo) 採算が取れない? PHOTO:三菱商事 三菱商事が落札した3海域での発電規模は約170万kW。本来なら2028年以降に発電を始める予定だった。まだ建設前の段階だが、円安や資材費、建設のための人件費などが高騰

