まず結論だけざっくり言うと、
…というイメージで見るのが実務的です(厳密な公式分解は存在しません)。
そのうえで、統計から見える「カテゴリ別の寄与度」と、「事象(メカニズム)」別に整理してみます。
生鮮食品除く総合(いわゆるコア)も +2.9%、生鮮・エネルギー除く総合(コアコア)が +3.0% と、エネルギーを除いたベースの方が高い状態です。
→ エネルギーはむしろ押し下げ気味で、食料やサービスなど「その他部分」が主役になっている。
東京の2025年10月・コアCPI(生鮮除く)は前年比 +2.8%。主な要因は
食料、とくに コメ価格の+38%超。水道料金の補助終了などで、サービスのインフレ率は+1.6%程度とまだ穏やか。
最新の年平均ベースでの要因分解が出ているのは2024年なので、まずそこで構造を確認します。
総務省の2024年平均CPI(全国・2020年=100)の結果:
総合:前年比 +2.7%
10大費目ごとの前年比と、総合への**寄与度(何%ポイント押し上げたか)**は以下の通りです。
(総合2.7%上昇に対して)
| 費目 | 対前年上昇率 | 寄与度(%pt) | 総合2.7%に占める割合(ざっくり) |
|---|---|---|---|
| 食料 | +4.3% | +1.21 | 約45% |
| 教養娯楽 | +5.4% | +0.49 | 約18% |
| 光熱・水道(電気・ガス等) | +4.0% | +0.29 | 約11% |
| 交通・通信 | +1.6% | +0.22 | 約8% |
| 家具・家事用品 | +4.0% | +0.17 | 約6% |
| 住居 | +0.7% | +0.14 | 約5% |
| 被服および履物 | +2.4% | +0.09 | 約3% |
| 保健医療 | +1.6% | +0.07 | 約3% |
| 諸雑費 | +1.1% | +0.06 | 約2% |
| 教育 | −0.4% | −0.01 | ▲0.4%ほど |
ポイント:
これをざっくり言い換えると、
「食料+レジャー(旅行・娯楽等)+光熱費+交通費で、2024年の物価上昇の約8割以上を説明できる」
という構図です。
次に、「どんな事象で上がっているか」をメカニズムごとに分けます。
ここは統計から「完璧に数値で切り分ける」ことはできないので、公的レポートをベースにした“ざっくり推計”になります。
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2022/0203nk/n22_1_2.html
これがまず、エネルギー価格(電気・ガス・ガソリン等)→企業物価→消費者物価(とくにエネルギー・食料・工業製品)に波及しました。
日本銀行やエコノミストの分析でも、「2021〜23年のインフレはおおむねコストプッシュ主導」という評価。
2025年時点では?
2024〜25年のインフレのうち、ざっくり「半分〜6割」は、この輸入物価+円安ショックの直接・間接効果と考えるのが妥当です(エネルギー+食料+輸入材比率の高い工業製品など)。
※根拠:
食料と光熱・水道で、もうそれだけで総合+2.7%のうち約56%を占める。
食料工業製品・外食などの分析では、輸入物価の影響が非常に大きいことが示されている。
👉 ざっくり言えば、現在のインフレの3〜4割は「賃上げ+人手不足」を反映したサービス価格の上昇と整理できます。
ここは「上げている要因」と「抑えている要因」が両方あります。
👉 まとめると、
補助金があった2023〜24年は、「本来のインフレ率」より0.3〜0.7ptほど低く見えていた
2025年は補助の縮小・終了が進み、逆にその反動で0.2〜0.5pt程度、インフレ率を押し上げている局面もある
ので、政策要因全体でみれば、インフレの±1割前後を左右していると考えられます。
国境再開・観光需要の戻りを背景に、宿泊料やパック旅行費などが大きく上昇し、
これが教養娯楽関連サービスの上昇・寄与に繋がっていると総務省・日銀は分析。
これは (B) の「サービス価格」の一部でもありますが、純粋な“国内需要の戻り”としての需要プル要因とも解釈できます。
量的な寄与を厳密に分けるのは難しいですが、ざっくり、
教養娯楽の+0.49ptのうち、数割程度は「旅行・観光需要の戻り」によるもの
とみるのが自然です。
上記を全部まとめると、2024〜25年の物価上昇(年率で2.7〜3%程度)の「要因別シェア」のイメージは:
おおよそ 50〜60%
食料・光熱費・輸入材比率の高い工業製品の寄与を合計した規模感+輸入物価・為替の分析結果からの推計。
おおよそ 30〜40%
教養娯楽・交通通信・医療等のサービス関連の寄与+日銀のサービス価格分析から。
エネルギー・ガソリン補助や授業料・水道料金などの影響。単年だと▲寄与の年と+寄与の年がある。
※ここでいう割合は、「2024年平均で見た総合CPI 2.7%程度の上昇を、どのメカニズムで説明するか」というオーダー感であり、
厳密な「公的推計値」ではなく、公表データや各種レポートを基にしたラフな整理です。
日銀・IMFは、「純粋なコストプッシュだけなら一巡してインフレは落ち着くが、賃金とサービス価格の上昇がどこまで続くかで中期のインフレ率が決まる」という見方。
日銀の展望レポート(2025年7月)では、CPI(生鮮除く)は2025〜26年度にかけて 2%前後に収れんする見通しだが、食料価格の上昇がやや上振れ要因とされています。
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